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ガルパンの大会出場校副隊長について・その1

 こないだガルパンOVAアンツィオ戦について感想を書きましたが、大会出場校それぞれの副隊長(あるいはサブリーダー)の役割がどうであるかいう話題を聞きましたので、ぼくなりの本編理解からみた彼女たちの姿をまとめてみようと思います。なお、国際通信社から発売された戦車道ボードゲーム『ぱんつぁー・ふぉー!』を購入してますので、こちらでユニット化されたキャラクターの評価も参照してみます。

  ……書いてたらえらい長くなってきたので、聖グロとサンダースだけ先に公開します。

 

 (2014/12/25追記:大幅に加筆修正した聖グロ考察を公開しました。)

 (2015/1/31追記:大幅に加筆修正したサンダース考察を公開しました。)

 

1.聖グロリアーナ女学院

 

 作品内では、誰が聖グロの副隊長なのかはっきりとは描かれてません。ネームドはオレンジペコとアッサムの2人ですが、どちらもダージリン隊長と同じ車輌に搭乗してるので、少なくとも部隊運用を分担する立場にはありません。これは、本編での練習試合が5輌ずつという少数の編成で行われたため、副隊長の指揮すべき別働隊が存在しなかったという事情によるのでしょう。

 では彼女たちとは別に副隊長がいるのかというと、その可能性も捨て切れませんけど(試合前に整列していた車長のうちの誰か)、それだったら試合後の挨拶のときにダージリンと同行しててもよさそうです(他の隊員をとりまとめてたのかもしれませんが)。学年からみてアッサム(3年生)が副隊長、オレンジペコ(1年生)は将来を担う隊長候補、という感じでしょうか。練習試合では車輌数が少ないため、この主力メンバーをダージリンの車輌に集中させた、と考えます。とくにオレンジペコは(高校レベルでは)1年目ですので、この練習試合で隊長の膝元で経験させるという意味合いもあったかもしれません。

 その結果、聖グロは、ダージリン車と隊列を組んでいる間は統率宜しきを得てましたが、大洗市街戦に移ると包囲・索敵のためバラバラにならざるをえず、再集結するまでは各個撃破の危機に瀕しました。再集結後も、みほの活躍の前にあわや全滅かと思われましたが、そこで威力を発揮したのが装填手オレンジペコや砲手アッサムたち最精鋭の技量です。みほは麻子に指示しているとおり、フェイントかけて4号をチャーチル側面に強襲させようとしますが、それを瞬時に見切ったダージリンも凄いうえ、その咄嗟の指示をちゃんと実行に移せる搭乗員の練度の高さたるや。あのタイミングですから、おそらくダージリンの指示はほんの一言二言のはずです。それにためらわず従って砲塔を旋回させ、4号が突っ込んでくるまでのわずかな時間に装填も照準も間に合わせるのですから、さすがと申せましょう。もっとも、初心者なのにそれと同水準の技量を発揮している麻子が凄まじいわけですけど……。

 大会では準決勝で黒森峰に敗れましたが、15輌をどう率いていたのかは不明です。アッサムか誰かが一翼を指揮していたかもしれませんし、あえてオレンジペコに経験を積ませたのかもしれません。いずれにせよ、ダージリンは敗退後もオレンジペコを観戦に同行させてますので、期待は大きいのかな、と思います。

 

 戦車道ボードゲームでは、ダージリンが隊長、オレンジペコのみが「副官ユニット」として副隊長扱いです。アッサムがいないのは、各校キャラ2ユニットまでというコンポーネント上の制約に引っかかったのかもしれませんね(アンツィオは3枚だけど)。能力は他校の副隊長と比べるとやや見劣りしますが、唯一の1年生ですからそれも当然。むしろ今の段階でここまで有能ならば、成長がますます楽しみです。

 

 

2.サンダース大学付属高校

 

 作品内では、ナオミとアリサが副隊長。隊長のケイが作戦指揮を担いますが、持ち前のおおらかな明るさで隊員を引っ張るとともに最前線に立つことも辞さないので、ナオミが落ちついた男前な性格で雰囲気を引き締めながらいざというときバックアップする頼りがいのある先輩、アリサが参謀役として情報面や作戦立案面でサポートする、という感じでしょうか。

 大会1回戦の準備では、ケイが「3輌で1小隊」・フラッグ車の護衛は「Nothing !」と言ってます。実際には、フラッグ車のアリサは単独行動のうえでこっそり通信傍受、他の3個小隊のうち2個をケイとナオミがそれぞれ直率(M3・4号を攻撃)、1個をネームなしの小隊長が率いてたようです。

 アリサの通信傍受についてですが、ケイが「今日のアリサの勘」と言ってますね。「今日の」ということは、以前も時々やってたんでしょうか、それとも同じくケイが「どうして分かっちゃうわけ?」と尋ねているように、今回が初めてだったんでしょうか。優花里の諜報活動に対する意趣返しとすれば、今回初めて試みたと考えたほうがよさそうですけど、傍受のための機器を車輌に搭載する時間的余裕はあっても、そのための訓練がけっこう大変なのではないかしら。あるいは、強豪校に勝つためのいち手段としてこっそり訓練してたところ、実戦で用いる正当化の理由を得たということかもしれません。

 さて、副隊長としてのアリサの問題点は、敵フラッグ車を撃破するためチャーリー(C)とドッグ(D)へ直接指示を下した場面に初めて表れます。ここまで見事な「女の勘」によって自隊を有利に導いてきたわけですが、それはあくまでも隊長のケイに戦術行動を上奏し、ケイがそれを受け入れて隊員に指示する、という手続きを踏んでいました(ドッグを撃破された後もやはり同じです)。しかし、この場面だけは、アリサが2輌に直接指示してます。これは、2輌がケイたちと別行動をとっており、また即座の対応が必要だったためアリサが副隊長の権限で指示を出した、とも考えられますが、それにしてもやや軽率というか、思いあがりの感が否めません。

 いや、もしかするとそれはアリサの焦りだったのかもしれません。アリサはナオミに次ぐNo.3の位置づけ、同じ副隊長とはいえそこには差があります。しかもナオミは後輩から慕われそうな格好良さですからね、アリサとしては気にしていないつもりでも、やはりケイの引退後を考えると、ナオミ(彼女も3年生でなければですが)との競争に備えざるを得ません。ナオミはそのリーダー的性格とともに、正確な砲撃能力という技量も持ち合わせています。しかし、本大会でナオミは小隊クラス以上の指揮をとっていませんでしたが、もしかすると大規模な部隊運用に関してはアリサのほうが一歩先んじているのかもしれません。すると、ナオミの性格や力量を正面から認めればこそ、アリサとしては彼女の長所で対抗するよりも、自分の強みで勝負をかけたくなるというのは当然かと思うわけです。しかも相手はぽっと出の弱小校ですから、ここで情報戦をこっそり試みながら実績を積み、次代隊長へのレースのためにポイントを獲得しながら今後予想される強豪校戦との踏み台にしよう、という計画。もちろん、ケイや自分たちの勝利を目指すのがアリサにとっても大切な目標ですが、優花里のスパイ行為を笑って許すケイの度量の広さには敬服しながらも、それでは黒森峰などに勝つには甘いのではないか、と疑問をいだいていたのかもしれません。また、もしもナオミが次の隊長になるのなら、それを参謀としてサポートするのもアリサの役目ですし、ナオミが3年生であるならアリサの隊長就任は確実ですから、今大会で実績を残してケイたちを安心させたいという気持ちはよく分かります。

 いやね、ケイの後継者って大変ですよ。あの気風の良さで隊員をまとめあげてたわけですが、アリサはどちらかというと難しく考えちゃうとこがありますから、同じ雰囲気を維持することは苦労するんじゃないでしょうか。しかも最近は、意中のタカシが振り向いてくれないと悩んでるわけですし。リーダーとしてのカリスマと、女性としての魅力の両方に自信を失いそうになっているのだとすれば、1回戦でアリサが示したやり過ぎな言動も、それをはねのけようとする彼女の意志の表れであり不安の裏返しとして、やや同情したくなるわけなのでした。

 

 そして、みほの「全車集結」という欺瞞情報を受けてアリサが高地への移動をケイに上奏する場面で、ケイはやや怪しさを感じて問いただしてます。ドッグが撃破されてますから、まぁ慎重にもなりますわ。しかし、アリサの自信たっぷりな(しかし判断の具体的根拠を示さない)返答を聞いて、ケイは目を丸くし、よっしゃとばかりに受け入れて全車にそのとおり指示しちゃうんですね。

 これはケイのリーダーとしての特性が良くも悪くも発揮された瞬間でして、根拠不明なアイディアをノリでおおらかに受け入れちゃうのは明らかにまずいです。しかし同時に、アリサがそこまで自信をもって主張していることが、なんか嬉しそうなんですね。アリサがケイ自身やナオミとは異なる長所を持ってることはよく分かっているし、力量を認めて副隊長を任せてて、今後にももちろん期待している。しかし、学園艦で皆を前にして出場車輌を発表するときのあの口調を聞くと、緊張もするだろうし副隊長としての威厳を持とうとしてるのも分かるけど、もう少し肩の力を抜いて開けっぴろげになってくれてもいいのにな、とケイは感じてたかもしれません。それは、戦車道にフェアプレーを求めるケイと、戦いに手段を選ぼうとしないアリサとの美学の違いというだけでなく、ケイから見たアリサの物足りなさだったのではないかと。

 そんな折、アリサが大会のさなかに自信たっぷりな発言ですよ。そこまでの展開でもアリサの情報が有効だったというだけでなく、ケイとしてはこの後輩の態度が心地よく感じられ、やっと(不安の裏返しとしての虚勢ではない)自信をもってくれたか、と喜び、頼もしく思ったんじゃないでしょうか。だからアリサの策を容れて全車進撃を命じたわけですが、しかしケイが隊長としてみほにやや劣るのは、仲間の過失である可能性をあらかじめ考慮にいれておいたり、まずい状況に直面したとき感情を抑えてその場でさっと次善策を編み出したりする能力が弱いところです(みほがそのへん強すぎるだけですが)。あと、試合後にアリサに「反省会」を命じてるように、怒ると怖い。

 なので、ここにいないはずの89式に出くわしたとき、アリサは同乗隊員から「連絡しますか」と聞かれてるのに「する必要ないわ!」と返しちゃってるんですね。ケイの期待に応えたいし、自分の判断ミスや敵の罠の可能性を認めたくない。ここで89式を撃破してしまえば、ちょっとしかイレギュラーで片付けられるはずでした。ですが、現実に罠にかかりかけてることを自覚して、とうとうアリサはケイに状況報告し、そうなった理由を問われて正直に通信傍受の件を白状し、叱られています。まぁしょうがないよね。その後はアリサ完全にパニック&ヒステリーで、可愛いというかなんというか。彼女の抱く不安や、ままならなさに対する欲求不満が、きれいに表返ってる塩梅で、そりゃタカシのことも叫んじゃいますよね。

 そこでケイがフェアプレーの精神で自隊の数を減らしたうえで、頼りにするのがナオミですからもう。試合には負けたものの、実際ナオミはその砲撃の技量をいかんなく発揮してますから、アリサは文字通り策士策に溺れる格好でした。一方で、ナオミは部隊運用レベルでのサポートは(画面上では)何もしてませんが、そちらの問題はアリサのつんのめりによって覆い隠された次第です。「いざというとき頼りになる」または「最後の王手をかける」ナオミと、「いざという場面に陥らないようにする」または「相手の詰め手順を見つける」アリサという分担が、今後できればいいのですけれど。

 

 戦車道ボードゲームでは、ケイとナオミがユニット化されててアリサはいません。ただし、通信傍受はシナリオカードとして実行可能となっており(それに対するみほの罠もですが)、アリサの能力は個人の技量としてではなくこの試合特有のイベントに吸収された格好です。このゲームで規定される「副官能力」はいざというときの行動の幅を広げるものなので、たしかに本編のアリサはちょっと及ばない感じ。ナオミはノンナに次いで優秀な副隊長ユニットなので、明らかな差が……。がんばれアリサ。

 

 とりあえずここまで、プラウダと黒森峰は次に回します。な、がーい。

 ところで、アリサの反則ギリギリな行為をダージリンが「地獄のホットライン」と見破っていたわけですが。あれは、試合場上空の通信傍受機を備えた気球を見たダージリンが、サンダースのいつにない練度の高さと結びつけてそれと看破したという可能性が高い一方で、もしかすると聖グロもサンダース艦にダブルオーナンバーの諜報員を送り込んでその計略を突きとめてた、なんてことも想像したりします。だって「戦争と恋愛には手段を選ばない」んですから、優花里ができたことを彼女たちがもっと洗練した方法でやらないわけがないかな、と。

 オレンジペコは通信傍受の可能性にまったく気づいてませんでしたし、アリサは今後もう少しフェアプレーに近いところで戦ってくれると期待してるので、来年度にサンダースと対戦するときは両者の知恵比べがどうなるか見ものですね。