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ガルパン考察関連で読んだ本(追記あり)

 (追記20160623:それぞれの本にコメントをつけました。)

 

 黒森峰考察に向けて作品内描写や台詞の書き起こしなどを進めてるわけですが。

 これまで公開してきたガルパン考察では元作品を基盤としながら、各校がモチーフとしている国々の軍事のみならず政治・歴史や文化風土などのネタも盛り込んできました。兵器やドクトリンなどの軍事面についてはぼくより詳しい人がたくさんいますし、何よりぼくの考察は各校戦車道の理念・実態とそのもとでの後継者育成という文化伝達的な観点から取り組むものですので、なるだけ「イギリス的」「アメリカ的」といった雰囲気の全体像が浮かび上がるようにしたかったのです。

 この努力が実を結んでいるかはさておき、個々の考察を書くにあたりそれらのネタを得るために読み返したり、新たに読んだりした本はいくらかあります。また、過去に読みかじった本の印象が無自覚なままに文章に影響を及ぼしていることもあるでしょう。ここでは、ぼくが直接そのつもりで読んだ・読みなおした本のいくつかを紹介させていただきます。なお、それぞれの本の内容が正しいかどうか・ぼくの理解が適切かどうかは、ここでは問題にしません。また、考察にけっきょく何一つ反映されていないものも含まれていますが、ぼくのオススメの本ではあります。

 

1.聖グロ考察

 J. S. ミル『女性の解放』 大内兵衛・大内節子訳 岩波文庫 1957年

    19世紀を代表する自由主義思想家による、徹底的な反・女性差別論。

    当時のイギリス社会における実態や男性のありがちな言い分も一望できる。

 E.H.カー『危機の二十年 1919-1939』 井上茂訳 岩波文庫 1996年

    国際政治研究の古典。国際連盟の理念がどのような現実を生んだのか。

    強豪校の責務とその課題を考えるために。

 リデル・ハート『戦略論 間接的アプローチ』 森沢亀鶴訳 原書房 1986年

    大戦期に活躍した軍事評論家の有名な著書。

    相手を動かす戦略の重要性、ダージリンの手際。

 J.F.C.フラー『フラー 制限戦争指導論』 中村好寿訳 原書房 2009年

    第一次大戦のイギリス軍人、機甲戦の唱導者による近現代戦争史論。

    ほんとは機甲戦の著書を読みたかったけど入手できず。

 ジョージ・オーウェル『[新装版]オーウェル評論集』全4巻

     川端康雄編 井上摩耶子他訳 平凡社ライブラリー 2009年

    『1984年』作者によるイギリス社会・文化についての内側からの批評集。

    イギリス的なものを考えるときのヒント。

 モンテスキュー『法の精神』全3巻 野田良之他訳 岩波文庫 1989年

    諸国の社会・文化と法制度・政治体制の関係を論じた有名すぎる古典。

    各校の校風・教育理念と戦車道の結びつきを考える発想の、遠い源流。

 

2.サンダース考察

 ジョン・デューイ『公衆とその諸問題 現代政治の基礎』

     阿部齊訳 ちくま学芸文庫 2014年

    20世紀アメリカの思想的巨人による、民主主義社会の危機分析と提案。

    サンダースの理念と実態のずれを考えるための手がかり。

 チャールス・ホワイティング『猛将パットン “ガソリンある限り前進せよ”』

     田辺一雄訳 サンケイ新聞社出版局 1972年

    昔懐かし赤背表紙、第二次世界大戦ブックスの1冊。

    ケイの気質や指揮統率能力を考えるさいの部分的モデルのひとつ。

 アントニー・ビーヴァー『ノルマンディー上陸作戦』上下巻

     平賀秀明訳 白水社 2011年

    いろいろ読んできたノルマンディものの最新作のひとつ。

    機甲部隊の指揮官や隊員たちの実態をとりあえず確認。

 アルバート・C・ウェデマイヤー『第二次大戦に勝者なし』上下巻

     妹尾作太男訳 講談社学術文庫 1997年

    国家戦略レベルでの戦争指導についての反省的分析。

    全国におけるサンダースの役割を考えるための素材、にはできず。

 ジョン・W・ダワー『容赦なき戦争 太平洋戦争における人種差別』

     猿谷要監修 斎藤元一訳 平凡社ライブラリー 2001年

    戦争が強化する差別意識とその表現の研究。

    他校に対するサンダース校風の二面性を考えるヒント。

 

3.アンツィオ考察

 エミリオ・ロッシ『戦場の一年』 柴野均訳 白水社 2001年

    第一次大戦時イタリア陸軍とくに将校団のひどすぎる実態を描いた小説。

    アンツィオ校風・戦車道の問題点を考えるさいの手がかり。

 ノルベルト・ボッビオ『イタリア・イデオロギー

     馬場康雄・押場靖志訳 未来社 1993年

    20世紀の代表的研究者によるイタリア近現代政治思想史の概括。

    ドゥーチェ呼称を考える素材だが、1930年代はあえてモデルに選ばず。

 P.マルヴェッツィ G.ピレッリ編『イタリア抵抗運動の遺書』

     河島英昭他訳 冨山房 1983年

    第二次大戦期イタリアで処刑された国内レジスタンスの遺書集。

    駄目で考えなしという通俗イメージへのカウンターとして。

 エドモンド・デ・アミーチス『クオーレ』

     和田忠彦訳 平凡社ライブラリー 2007年

    『母をたずねて三千里』原作も含む19世紀イタリアの愛国心育成小話集。

    民衆・子供の感性や習俗、またそれらの理想モデルを知るために。

 藤澤房俊『「クォーレ」の時代 近代イタリアの子供と国家』

     ちくま学芸文庫 1998年

    こちらは歴史研究書。実態や背景を理解するための手引き。

    図版もたくさん収められおり、協同的なもののイメージづくりに助かる。

 マキアヴェッリ君主論』 河島英昭訳 岩波文庫 1998年

    イタリアルネサンスを象徴するあまりにも有名な統治論。

    集団を率いることの意味や指導者の資質を考えるための基礎。

 

4.プラウダ考察

 マルクス エンゲルス共産主義宣言』 大内兵衛向坂逸郎訳 岩波文庫 1951年

    これまた有名すぎるマルクス共産主義思想の古典。

    プラウダ教育理念と外界への批判について考えるための第一の素材。

 猪木正道『増補 共産主義の系譜 マルクスから現代まで』 角川文庫 1984年

    マルクスの思想的背景から中ソ対立期にわたる共産主義思想史の概説書。

    プラウダ戦車道の理念・実態上の矛盾を思いついたのはほとんどこの本から。

 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』

     三浦みどり訳 岩波現代文庫 2016年

    ノーベル文学賞受賞作家による第二次大戦ソ連軍元女性兵士インタビュー集。

    戦争中のソ連女性についてイメージするための手がかり。隊員像からは遠い。

 ジェフリー・ロバーツ『スターリンの将軍ジューコフ

     松島芳彦訳 白水社 2013年

    第二次大戦期ソ連陸軍指導者についての、ロシア文書館資料による最新研究。

    スターリンや部下との関係をプラウダ隊内に薄っすらと重ねつつ反面教師に。

 アレクサンドル・チェヤーノフ『農民ユートピア国旅行記』

     和田春樹・和田あき子訳 平凡社ライブラリー 2013年

    ソ連の農業経営学者が共産主義支配世界の生活を描くもう一つの『1984年』。

    学園艦という半独立的な生産・消費共同体を考えるさいの参照用、のつもり。

 ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』

     木村浩訳 新潮文庫 1963年

    あのすさまじい『収容所群島』著者であるソ連作家の代表的短編小説。

    強制労働のイメージ源だが、カチューシャもノンナもここまですまい、と。

 『ソルジェニーツィン短編集』 木村浩編訳 岩波文庫 1987年

    同じ作家の短編小説集。ソ連のどうにもなりがたい社会生活の一幕を活写。

     学校生徒の純粋な熱意と官僚主義の葛藤を描く「公共のために」に注目。

 

 てな感じで並べてみましたが、ほんと考察に反映されてないものが多いですね……。それでもアイディアの源となり助かったこともあるわけで、文庫・新書や古本など廉価な本にも豊かな素材が詰まっているのだなとあらためて感じます。古典と呼ばれる作品も少なくないので当然といえばそれまでですが。若い頃に一度読んだきりで20年ぶりに開いた本もあったりしまして、過去の乱読・積ん読古書店めぐりがこうやって力添えしてくれるとは、としみじみ言い訳。勉強や仕事に使えなくても、趣味にすぐさま役立たなくても、いつかどこかで……くらいの気持ちで楽しめる読書を続けたいものですし、アニメ・漫画作品を鑑賞することも固めの本を読むこともそれぞれへの興味や理解を深めあえる間柄であるようにしたいものです。

 ただし実際に考察を書くにあたっては、参考図書の内容に引きずられてしまうこともあるので毎度反省しています。せっかく読んだのだから・お金を払って買ったのだから、もっと考察に反映させなければもったいない、とついつい思っちゃうんですね。プラウダ考察でも当初、引用しすぎで頭でっかちになってしまい、後ですべて削除しました。泣いてないんだからね。